子どものために個人トレーダーとして生計を立てたい

 

最近、子どものために会社を辞めて、株式やFXなどの専業の個人トレーダー(いわゆる相場師)になって生計を立てたいとか、定年後も子どもの学費やローンがかかるので、FX相場の利益で老後は生活していくという人生行路設計をされる父親の方が増えてきています。

 

このような人生設計をされる皆さんの職業は、一流企業勤務であったり公務員の方が多いのですが、安定した生活を捨ててまで、厳しい相場の世界で生きていくことを決意されるにはそれなりの理由があります。

 

弊社で一番多いのは、子どもに発達障害があり問題行動が多発して、子育てが大変だという理由です。母親だけでは対応が限界なので父親の自分が子どもの近くにいて、いつでも子どもに関われる環境を作りたいという動機から人生の方向転換を決意されています。

 

次に多いのは、定年後も子どもが大学や専門学校に在籍していて、学費や仕送りなどが必要なうえに、住宅ローンの残債が75歳くらいまで残っているようなケースです。加えて、引きこもりや社会不適応状態にあるご子息がおられる場合もあります。

 

私は、バブル時代から上記のような方たちのその後の人生行路を見てきましたが、相場で成功した人はほとんどいませんでした。相場の失敗を体験された方や成功された方たちに実際にお話を聞かせていただきましたが、相場で利益を出して生活をすることは本当に難しく私には無理だと思ったものです。

 

また、最近はFXセミナーや株式セミナーなどで勉強してから相場の世界に入るケースが多くなっています。1年程度のトレードの指導を受け、教えられたとおりに1年程度トレードを行って負ければ、指導料(100万円~300万円程度)は全額返還などという良心的なセミナーがあるのも事実です。

 

しかし、中には教材や手法をよく分析(そんなに難しくありません、単純な確率論レベルでできますよ)すると論理的に破たんしているものもあるのです。特に利食いと損切りの行い方が稚拙で、1000万円の資金で初めて、セミナーの指定の取引単位とタイミングで相場にエントリーしても、分析すると約6か月で破綻するようになっていました(相談者の方は実際に5か月弱で破綻していました)。

 

セミナーを吟味もせず信じ、講師に依存して相場を張ってタネ金(資金)を失った人は案外おられます。しかし、あくまで自己責任ですから、そのセミナーや教材・講師が悪いとはいえないのです。セミナーも混交玉石で良心的なものもありますから、それを見極めてどう活用するかという吟味能力が大切なのです。

 

相場のような厳しい世界では、そもそもすべてを人に頼って相場を張ること自体が問題だといえます。セミナーは交流や情報収集の場であり、依存の場ではありません。相場は、ファンダメンタルやテクニカル、相場心理、偶然、突発的な変動、機関投資家の動きなど、予想しにくい様々な変数から成り立っています。ですから、その価格の変動の中で自分の方法を研究して見つけ出し、かつ実践できた自立した者が勝ち残れる世界であると言っても過言ではありません。リスクを乗り越えて生計を立てられる方は、長い経験と勉強を積み重ねておられるだけでなく、特別な適性をお持ちのように思います。ですので、リスクのないデモなどの取引で勝ったから大丈夫であるとか、この手法さえマスターすれば勝てるなどと言うレベルでの判断しかできない方はなるべく避けられた方が良いと思います。

 

加えて相場は心理面でも耐える力が必要です。相場を張ると、価格の変動で精神的に日々、一喜一憂が続くことになります。予想した方向に行くときはいいのですが、反対の方向に行くと精神的に不安定になります。少しずつ資金が減っていくと、それを取り戻そうとして大抵はだんだん無茶をするようになります。それがかえって失敗になることが多いのが現実です。そうなると、温厚な人でも自信や自身を喪失し、攻撃性や被害者意識が出たりする場合もあります。子どもの教育上、かえってマイナスになることさえあるのです。

 

私は、子どものために職を辞してまで飛び込んだ相場の世界で、身も心もずたずたになられ、結局家庭まで崩壊してしまうケースも多く見てきました。相場はセルフコントロール力との戦いですので、精神的にも厳しい生活が待っています。毎日が自分との戦いに自己責任で立ち向かうことになってしまいます。相場の世界は、一見するとパラダイスのような夢があるように見えますが、現実はとても孤独で厳しい環境でもあります。心の問題が派生することも覚悟しておかなくてはなりませんし、負けた場合のリスクコントロールも計画に入れておく必要がある緻密な世界でもあるのです。そう言う部分も知っていただき、子どものために家族のために本当に最善の判断なのかを自問することも大切だと思います。

 

相場の世界の詳しい話はここでは触れませんが、もし、子どもや家族のために専業の個人トレーダ―(相場師)として生きていこうとされるなら、もう一度、自分を振り返って判断されることをお勧めします。もし迷われた場合は、ご相談いただければアドバイスはできると思います。